♪04 緊張のアポ

ブー・・・・ブー・・・・

緊張で、手が震える・・
憧れのピアニストに電話をかけているのだ。

東京で、彼のコンサートを聞いて以来、
「この方に習いたい!」
と切望してきた。

呼び出し音が、長く響く・・

「Jenner」(「イエンナーです。」)

(ドキ!!)

「こ、こんにちは。

わ、私は、足立と申します。

少し前に、

ラヴェルのテープを送った者なのですが・・」

「Ah、ja!」

たどたどしいドイツ語にもかかわらず
すぐにわかってくださる。

マスターテープを聞いて、
「一度ウィーンにいらっしゃい」と
おっしゃっていただけていた。

しかし、生徒として取っていただけるかは
まだわからない。

直接オーディションを受ける必要がある。

日時が決まる。
身が引き締まる・・

アレキサンダー・イエンナーは、ウィーンでもっとも人気あるピアニストの一人で、ウィーン楽友協会大ホールでのリサイタルには毎年満員の聴衆を集めます。これまでの共演者は、アバド、サバリッシュなどの一流指揮者、ウィーン・フィル、ロンドン交響楽団といった名門オーケストラと、枚挙にいとまがありません。輝かしい演奏活動の一方・・・ショパン・コンクール、チャイコフスキー・コンクールをはじめ、主要なコンクール審査員の経験も豊富で・・す。

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